社内電話帳を調べていると必ず出てくるのがCardDAV(カードダブ)という言葉です。

難しそうに見えますが、やっていることは単純です。「連絡先を配る」のをやめて「見に行く」形にするための決まりごと、それだけです。


「配る」と「見に行く」の違い

Excelの名簿を全社メールで配る運用を思い出してください。配った瞬間から、名簿のコピーが社員の数だけ存在することになります。

  • 誰が最新版を持っているか分からない
  • 古い版を見て、辞めた人に電話してしまう
  • 一度配ったファイルは回収できない

CardDAVはこれを逆にします。名簿はサーバーに1つだけ置き、各スマホがそこを見に行きます。コピーは存在しません。

Excelを配るCardDAV
名簿の数社員の数だけ増えるサーバーに1つ
更新全員に配り直すサーバーを直すだけ
最新かどうか分からない常に最新
退職者の削除できないサーバーから消せば端末からも消える
着信時の名前表示取り込めば出る出る

なぜアプリが要らないのか

CardDAVが便利なのは、特定の会社の製品ではなく、公開された規格だからです。

iPhoneは標準でCardDAVに対応しています。「設定」→「連絡先」→「アカウントを追加」→「その他」の中に「CardDAVアカウントを追加」という項目が最初から入っています。アプリのインストールも、管理者の許可も要りません。

追加した電話帳は標準の「連絡先」アプリに現れます。専用アプリを開く必要がないので、着信時にもきちんと相手の名前と部署が表示されます。

Androidの標準連絡先アプリはCardDAVに対応していません。DAVx⁵というアプリを1つ入れると同期できるようになります。ここだけiPhoneと手順が違います。


CardDAVサーバーはどう用意するか

「サーバー」と聞くと身構えますが、専用の機械を買う必要はありません。月額数百円のレンタルサーバーで動きます。

用意のしかたは主に3つです。

方法費用の目安向いている場合
Nextcloudを入れる月500円台〜(人数無制限)自社で管理したい/人数が多い
社内電話帳SaaSを契約する1人あたり月額構築の手間をかけたくない/少人数
Google Workspaceで代用する1人あたり月額(※会社の電話帳を配る用途には向かない)

Nextcloudは無料のオープンソースで、連絡先アプリを有効にするとそのままCardDAVサーバーとして動きます。かかるのはレンタルサーバー代だけで、社員が何人になっても金額は変わりません。

NextcloudのアプリからContacts(連絡先)を有効にする画面
Contactsアプリを有効にすると、NextcloudがCardDAVサーバーになる

実際の手順はNextcloudをレンタルサーバーにインストールして社内電話帳を作る全手順に画面キャプチャ16枚でまとめています。


よくある疑問

通信は安全か

HTTPSで接続するので暗号化されます。逆に言えば、SSL(https)を設定していないサーバーは使ってはいけません。パスワードが平文で流れます。無料SSLはほぼすべてのレンタルサーバーに付いています。

社員が勝手に書き換えられないか

読み取り専用に設定できます。Nextcloudでは電話帳を共有するときに権限を選べるので、全社員には閲覧のみを渡し、編集は管理者だけにするのが基本です。

圏外でも見られるか

見られます。一度同期された内容は端末に保存されているので、オフラインでも表示され、着信時の名前表示も動きます。通信が回復したときに差分だけ同期されます。

個人の連絡先と混ざらないか

混ざりません。CardDAVで追加したアカウントは別のグループとして扱われます。退職時にアカウント設定を削除すれば、会社の連絡先だけがきれいに消えます。

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