Microsoft 365やGoogle Workspaceを契約していると、「もう会社の住所録はあるのでは?」と考えると思います。

たしかにあります。Microsoft 365にはグローバルアドレス一覧(GAL)、Google Workspaceにはディレクトリという全社の住所録があります。

ですが、それはスマホの標準「連絡先」アプリには入りません。
OutlookやGoogleコンタクトの中では見えますが、着信があったときに相手の名前は表示されません。画面に出るのは番号だけです。


「同期サービス」という商品が存在すること自体が答え

この話を裏付ける分かりやすい事実があります。

「GAL同期」「アドレス帳同期サービス」という商品が、複数のSIerから売られています。グローバルアドレス一覧をスマホの連絡先に同期させるための、有償のソリューションです。

標準機能で足りているなら、こうした商品は存在しません。需要があるということは、標準では解決していないということです。


なぜ着信時に名前が出ないのか

スマートフォンが着信時に名前を表示するのは、端末そのものの「連絡先」に番号が登録されているときだけです。

GALやディレクトリは、それぞれのアプリの中にある検索できる名簿です。端末の連絡先には書き込まれません。だからOutlookを開けば調べられるのに、電話が鳴ったときには番号しか出ないという状態になります。

GAL / ディレクトリCardDAV同期
どこで見えるOutlook / Googleコンタクトの中標準の「連絡先」アプリ
着信時の名前表示出ない出る
発信アプリを開いて検索標準の電話アプリからそのまま
オフラインアプリの仕様による端末に保存されるので見られる
部署ごとのグループリストとして配れる

「調べられる」と「着信時に名前が出る」は別の話です。社内電話帳で本当に欲しいのは後者だと思います。


Google Workspaceの「連絡先の共有」でも同じ

Google Workspaceにはディレクトリのほか、共有連絡先(Domain Shared Contacts)という仕組みもあります。取引先など、社外の連絡先を全社で共有するための機能です。

ただしこれもGoogleコンタクトの中で見えるもので、端末の連絡先に自動で入るわけではありません。結局、各社員が自分で取り込むことになります。

自分で取り込ませると、今度は更新のたびに全員に取り込み直させることになり、Excelを配っているのと同じ状態に戻ります。


Teamsの連絡先も同じ構造

Teamsでメンバーを検索できるのは、Teamsが組織の情報を参照しているからです。これもTeamsアプリの中の話で、端末の連絡先とは別です。

現場では次のようなことが起きます。

  • Teamsを開けば名前が分かるのに、着信では番号しか出ない
  • 折り返しのために、結局その番号を個人の連絡先に手で登録する
  • 登録した番号が古くなっても誰も気づかない
  • 退職者の番号が個人の連絡先に残り続ける

どうすればいいか

Microsoft 365やGoogle Workspaceを解約する必要はありません。メールもファイルもチャットも、それらが引き続き担当します。

足りないのは「端末の連絡先に、全社の電話帳を入れる」部分だけです。ここはCardDAVで補えます。

  • 月500円台のレンタルサーバー1台で用意できる(人数無制限・定額)
  • iPhoneは標準機能だけで繋がる(アプリのインストール不要)
  • AndroidはDAVx⁵というアプリを1つ入れる
  • 管理画面で1件直せば全員の端末に反映される

手順はNextcloudで社内電話帳を作る全手順(画像16枚)にまとめています。既存のMicrosoft 365やGoogle Workspaceと併用して問題ありません。

あわせて読みたい

Nextcloudで社内電話帳を作る全手順
足りない部分を補う手順。画像16枚・所要30分。

CardDAVとは
なぜ標準の連絡先アプリに出せるのか。

社内電話帳の作り方4パターン比較
他の選択肢も含めた全体像。