社内電話帳のSaaSとして最も知られているのがPHONE APPLI PEOPLE(旧・連絡とれるくん)です。

自前でサーバーを立てる方法と比べて、どちらを選ぶべきか。結論から言うと、判断基準は「電話帳以外に何を使うか」です。

料金の比較

PHONE APPLI PEOPLEはKDDIが販売しており、ライセンス種別ごとに1IDあたりの月額が決まっています。

プラン月額(1IDあたり)
ライト429円
スタンダード(PA PLACE版 / Webex版)660円
スタンダード(PA THANKS版)880円
アドバンス990円
初期費用42,900円(1テナント)
KDDI公式サイト掲載(2024年1月以降の契約者向け)の金額。2026年9月時点。オプション(Entra ID連携220円/ID、安否確認220円/ID など)は別途。

社員50名で、最も安いライトプランを使った場合を計算します。

PHONE APPLI PEOPLE(ライト)自前サーバー
月額429円 × 50名 = 21,450円528円(定額)
年額257,400円6,336円
初期費用42,900円0円
初年度の合計300,300円6,336円
社員が100名になったら約51万円/年6,336円(変わらない)
自前サーバーはカラフルボックスBOX1・36ヶ月契約時(税込528円)で計算。

差は初年度で約29万円です。しかも人数が増えるほど開きます。(kintoneのような汎用SaaSで代用した場合の試算も別記事にあります)自前サーバーは人数が何人でも金額が変わらないためです。

では、なぜSaaSを選ぶ会社があるのか

金額だけ見れば自前が圧倒的です。それでもSaaSが選ばれるのには理由があります。

PHONE APPLI PEOPLE自前サーバー(Nextcloud)
電話帳をスマホに配る○○
組織図の表示○×
顔写真つきの社員検索○△(画像は持てるが専用UIは無い)
名刺管理(社外の連絡先)○×
在席・プレゼンス表示○×
安否確認○(オプション)×
Entra ID / AD連携○(オプション)△(設定は必要)
サポート窓口○×(自分で対応する)
構築の手間不要約30分
ファイル共有・カレンダー・チャット×○(同じ料金内)

判断基準はここです。
名刺管理・組織図・在席確認まで使うならSaaS。それらは自前では作れません。
やりたいことが「連絡先をスマホに配る」だけなら自前。使わない機能に人数分の月額を払い続けることになります。

人数と年数で見ると、差はもっと開きます

先ほどは社員50名・初年度で比べました。SaaSは人数×月数で増え、自前は何人でも定額なので、年数が延びるほど差が開きます。3年で見ます。

社員数PHONE APPLI ライト
3年の総額
自前サーバー
3年の総額
差額
10名197,340円19,008円約17.8万円
50名815,100円19,008円約79.6万円
100名1,587,300円19,008円約156.8万円
300名4,676,100円19,008円約465.7万円
PHONE APPLI は 429円/ID/月 + 初期費用42,900円で計算(2026年9月時点のKDDI公式サイト記載)。自前はカラフルボックスBOX1・36ヶ月契約の税込528円×36ヶ月。

自前の場合、これとは別に独自ドメイン代(年1,000〜2,000円程度)がかかります。それでも桁が変わるほどの差にはなりません。

逆に言えば、10名程度の会社なら「差は3年で18万円」です。名刺管理や組織図が業務で要るなら、SaaSを選ぶ判断も十分に成り立ちます。人数が増えるほど自前の合理性が上がる、という関係です。

自前にしたあと、誰が何をするのか

金額だけで決めると後で困ります。SaaSなら業者がやっていた作業が、自前では自社に移ります。実際に発生するのは次の作業です。

  • 入退社のときに連絡先を追加・削除する(管理画面で1件直すだけ。全員の端末に自動で反映されます)
  • Nextcloudの更新。細かい修正は自動で当たりますが、大きなバージョンアップは手動です(Nextcloudのアプリで何ができるかに要件をまとめています)
  • サーバーの契約更新。更新時に料金が上がる会社もあるので、契約前に確認します
  • 不具合が起きたときの切り分け。レンタルサーバー会社はNextcloudのサポートまではしません(同期されないときの確認順)

これらを「自分でやれる/やる気がある」かどうかが、金額と同じくらい大事な判断材料です。情シスが一人もいない会社なら、月2万円でも業者に任せる判断に合理性があります。

見落としやすい違い

専用アプリか、標準の連絡先アプリか

SaaS型の多くは専用アプリの中に電話帳がある形です。検索性は高いのですが、着信時に相手の名前が出るかどうかは実装によります。

自前サーバー(CardDAV)はスマホの標準「連絡先」アプリに直接入ります。そのため着信時の名前表示は確実に動きます。仕組みはCardDAVとはで解説しています。

導入前に必ず確認してください。「着信時に名前と部署が表示されるか」は、社内電話帳で最も使われる機能でありながら、比較表に載らないことが多い項目です。

サポートの有無

これは正直にSaaSの利点です。自前サーバーは、動かなくなったら自分で調べて直すことになります。情シスが1人の会社では、この差が効く場面があります。

ただしNextcloud自体は世界中で使われているソフトで情報は豊富です。また電話帳は仕組みが単純なので、ファイル共有や業務システムほど複雑なトラブルは起きにくい部類に入ります。

データがどこにあるか

SaaSは提供事業者のクラウドに、自前は自社が契約したサーバーにデータが置かれます。どちらが良いかは会社の方針次第ですが、「社員の個人情報を外部に預けない」という判断がある会社では自前一択になります。

まとめ

  • 料金は自前が圧倒的に安い。社員50名で初年度29万円以上の差
  • SaaSは名刺管理・組織図・在席確認など、電話帳以外の機能が本体
  • 電話帳だけが目的なら、その機能に人数課金を払う意味は薄い
  • 着信時の名前表示は導入前に必ず確認する

自前で作る場合の手順はNextcloudで社内電話帳を作る全手順(画像16枚)にまとめています。コマンド操作は不要で、約30分で完成します。

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